『神山健治』(KAWADE夢ムック)読んだ

 

神山健治 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

神山健治 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

 

  「009 RE:CYBORG」公開直前に出版されたムック本。ファンだから読んだ。結論から言うと少し期待外れ。

 監督の作劇論みたいなことを知りたかったのだが、どちらかというと映像の作り方とか現場での振る舞い方とかいった話が主で、もちろんそれらに関しては面白いことがいろいろ書いてあるのだが(結局3Dで作った方が2Dよりコストがかかるとか、ミニパトでの経験が009で活きているとか)、そっちじゃなくてどうやってお話を作り上げているのかもっと掘り下げてくれよ…という感じ。もしかしたら監督もそこまで深くは考えていない?

 あと、寄稿文については正直期待しないほうがいいです。攻殻SACにおける反復性と一回性について述べてる論考は唯一よかった。というか、あそこまで書いておいてなぜベンヤミンアウラの話を出さなかったのか。筆者が表象文化論専攻ということなのでよもや知らないなんてことはなかろうに。

 

 神山作品についての論考を読みたいならこっちを読むべし。

ユリイカ2005年10月号 特集=攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

ユリイカ2005年10月号 特集=攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

 

  こっちは攻殻SSS公開直前に出版された本で、主にSAC1期と2期についていろいろ書かれている。東浩紀との対談が非常に濃くて良い。上野俊哉との文通のほうは、上野さんが書きたいことを書いてそれに頑張って神山さんが話を合わせようとしているような印象を受けて、あんまり好きではないのだけれども。