『生命と機械をつなぐ知 基礎情報学入門』読んだ

 

生命と機械をつなぐ知 基礎情報学入門

生命と機械をつなぐ知 基礎情報学入門

 

  「基礎情報学」とやらの入門書。そもそも基礎情報学が一学問分野としてしっかりと確立されたものなのかは私にはよく分からないが、情報学環の西垣通氏の研究室に所属する方が出す著作は「基礎情報学」を話の前提としているため、その前提を知らないと全くもって歯が立たない書籍が多い。この本は難解な基礎情報学をかなり噛み砕いて平易に解説しているので、予備知識は必要ない、と思う。

 こういった教科書の類は、私がつらつら感想を並べ立てるよりも目次を載っけてくれた方が読む側としては有益だと思うので、ひとまず目次をば。

 

第1章 情報

 

 1.1 情報とは何か

 1.2 情報学の分類

 1.3 情報の伝達と蓄積

 1.4 情報量

 1.5 身体と生命情報

 1.6 記号と社会情報

 1.7 ITと機械情報

 1.8 デジタルとアナログ

 

第2章 システム

 2.1 自律システムと他律システム

 2.2 コンピュータ・システム

 2.3 有機構成

 2.4 オートポイエーシス

 2.5 心的システム

 2.6 社会システム

 2.7 階層的自律コミュニケーション・システム

 2.8 ロボット

 

第3章 メディア

 3.1 伝播作用

 3.2 成果メディア

 3.3 連辞的メディア

 3.4 範列的メディア

 3.5 マスメディア・システム

 3.6 ウェブ検索

 3.7 双方向メディア

 3.8 インターネット・システム

 

第4章 コミュニケーションとプロパゲーション

 4.1 システム作動と意味伝播

 4.2 構成される世界

 4.3 個人の学習

 4.4 組織の学習

 4.5 機械の学習

 4.6 システムの進化

 4.7 デジタルデバイド

 4.8 人間=機械複合系

 

 そのテキストが扱っている領域がはっきりしていた方が読む側も本の選定がしやすいだろうと思って目次をコピペしたのだが、どうだろうか。

 各小項目について、概念の説明・応用・補足なども含めて5~6ページ。全体で205ページの気軽に読める本。

 

 一つだけ内容に突っ込むなら、「成果メディア」というネーミングは不要な混乱を招くのでやめた方がよいのでは。もともと理論社会学の用語とのことなので仕方ない部分もあるのだろうが、基礎情報学に取り入れる際に名前を変えちゃっても良かったんじゃなかろうか。何かを媒介しているわけではなくて、システムの方向性を定義付けるものなのだから、名前はなんだろう、「システム象徴項」とか?