『バーナード嬢曰く。』読んだ

 

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

バーナード嬢曰く。 (REXコミックス)

 

  今この文章を読んでるそこのあなた!読書は好きですか!?

 

 こんな辺鄙なブログを読んでくださっているところを見ると(ありがたい話だ)、もちろん活字を読むことが大好きで仕方がないのでしょう!いわんや書籍をや!そういう方はぜひこのマンガを読むべし!読書がもっと好きになるぞ!

 読書が好きでも何でもないあなた!なんてもったいない人生を送っているんだ!今すぐこのマンガを読んで読書の魅力を発見するんだ!

 

 冒頭からうるさくなってしまったので、ここからはテンションを少し下げてお届けしよう。

 

 施川ユウキ氏の『バーナード嬢曰く。』は、読書が好きだったり好きじゃなかったりする高校生*1たちが、色々な文学の古典・話題の新書・マニアックなSFをダシにしながらあることないことに花を咲かせるギャグマンガだ。

ヒロインの町田さわ子に痛いところを突かれ狼狽する「めんどくさいSF好き」神林しおり

読書が嫌いだけど読書通ぶりたいさわ子に名言を吐く神林

 この時点で内容が気になって仕方がない人はここ(要ニコニコアカウント)から冒頭を試し読みできる。現在一迅社REXで連載中で、単行本はまだこの1巻のみ。早く2巻出してくれ!!

 

 タイトルはもちろんバーナード・ショーのもじりで、「バーナード嬢」はヒロインの町田さわ子が勝手に自称している二つ名だ。本書の主要キャラクターは、本を読まずに読書家ぶりたいと考える町田さわ子と、一を訊くと十まで話しだすめんどくさいSFフリークの神林しおり*2、少し前に流行った本を古本屋で手に入れるのが趣味の遠藤くん、それとシャーロキアンな図書委員長谷川スミカ。

 マンガで登場する本は、主にある人物のせいでそこそこSFに偏っているのだが、全体として古典から最新のヒット作(なんと『恋空』までカバーしている)、『銃・病原菌・鉄』などの話題となった教養書など幅広い。それも、真面目に本の中身を扱うのではなく(なのでネタバレの心配はないぞ)、「『銃・病原菌・鉄』って銃は鉄なんだから3つのうち2つは一緒じゃん!」とか、「ロシア文学は人の呼び方多すぎてめんどくせえ」とか、非っ常にくだらない褒め言葉)切り口から語られる。

 でも、そこがとても面白い。本自体を見るのではなくて、本を読む人たちを一歩引いたところから見ている感じ。だから、読んでいて笑えるし、同時に「わかるww」「その発想はなかったわ」と、何だか自分を見つめ直しているような気分になってくる。

 

 読書好きなら絶対に面白さが分かるマンガだ。読書が好きでない人には無理に読めとは言わないが、「あぁ、読書って案外テキトーなんだな」ということが分かってもらえるはずだ。そう、読書なんでテキトーに、当人が読みたいように読めばいいのである。

 このマンガを読んでいて、私は無性に小説が読みたくなってきた。最近読んでなかったし。『順列都市』と、あとピンチョンが書いた何か(テキトーだ)。読んでると本が読みたくなるマンガ『バーナード嬢曰く。』。面白そうな本探しのためのツールとしても使えるので、読書人生で迷っているあなたはぜひ。

*1:作品中には高校生だとは一言も書かれていないが、イーガンを読める中学生は流石にいないと信じたいぞ…

*2:この名前、絶対『戦闘妖精・雪風』の作者である神林長平氏のオマージュだ