情報学環教育部の入部(?)試験対策について
無事受かったので忘れないうちに書く。
※今年(2015年)、去年までと一次の筆記試験の傾向が少し変化した。以降この記事では、この問題傾向が維持されることを前提に対策を書く。この記事を参考にして落ちた場合私は一切の責任を負わないが、節度ある愚痴をコメントに残してくれる分には大歓迎である。
情報学環教育部の試験は、一次試験(筆記)と二次試験(面接)からなる。あとは、出願時に必要な学習計画書と自己推薦書も大きく合否に関わってきそうなので、それも試験の一種と言えるかも。
各試験の概要
学習計画書&自己推薦書
書式とか字数とかは募集要項参照。ちなみに、学習計画書は字数制限1500字程度のところ私は筆が走りすぎてしまい1800字くらいになってしまったが何もお咎めはなかった。参考程度に。
大学院入試で課される「研究計画書」では自身がやりたい研究のテーマとその重要性・先行研究の概要などを記す必要があるが、こちらはあくまで「学習計画書」。「こんなことが学びたいなあ~エヘヘ」くらいのノリで書いて大丈夫。ちゃんと教育部で学べる内容かどうかだけはしっかりと確認しておく。かっちりした研究テーマを決める必要は全くないし、そういうザ・研究がしたい人はむしろ教育部なんかで油を売ってないで大学院の方の情報学環に行くべし。
一次試験
試験時間は一時間で、合計1200字程度の記述。今年は、下記の本の一部を題材として
傍線部を説明する問題が300字程度×2問、問3は「本文のテーマと自身が教育部で学びたいことがどのように関わってくるか」についての記述で字数制限ナシ(解答欄に書けるのは最大800字くらいだった気がする)。解答を自身の得意な領域にどれだけ引きずりこめるかがミソ。
この一次試験は過去に何回か(そして今年も)問題傾向が変わっていて、それについてはこの記事の最後の方にちょろっと書いた。
この試験で、80~90人→40人程度に受験生が絞られる。
二次試験
一人15分間で1対2(受験生1に対して教授2)の面接。訊かれることは学習計画書&自己推薦書に書いた内容についての質問、今後の進路についての質問、ちゃんと単位を取って卒業できる程度には忙しくないよねと確認する質問、などなど。自治会作成のパンフレット*1に「○○先生に泣かされた」云々と書いてあったが、そのような圧迫面接ではなかった。少なくとも私の場合は。面接は受ける前はどうなることかと思ったが、始まってみると案外どうとでもなった。学習計画書と自己推薦書の読み直しくらいはしておこう。
この試験で、40人→30人程度に絞られる。残った人は合格。おめでとう。
(2015/12/5追記:この前ひょんなことで「二次の面接で落ちた」という稀有な人のお話を伺う機会を得たが、その人曰くどうやら「最終的に友達つくりたいですみたいな志望動機になってしまったのが良くなかったかも」とのこと。教育部での友達作りは諦めよう!じゃなくて、面接時にはオフパコ欲を抑圧してフォーマルに攻めよう!)
試験対策
単刀直入に言おう。教育部に合格する上で重要なのは以下の三つだけ。
- 学びたいテーマを明確にする
- そのテーマと教育部のカリキュラムがどう関わっているのか調べる
- そのテーマに関する本、関係なくてもとりあえず本をいっぱい読む
1と2に関しては、学習計画書を書く際に受験生誰もが必ずやっていることなのでわざわざ強調する必要はない。3に関しても、普段からそのテーマについて関心を持っているなら本の一冊や二冊読んでいてもおかしくない。本を読む習慣がない奴は今すぐこのページを閉じて本を読め。
あれっ、じゃあ(本をいっぱい読んでいるとすれば)何も対策することなくね?
その通り!上記の三つを既に実行している方はぶっちゃけ何もしなくても受かるはず。しいて言えば論理的な文章を書く練習はしておいた方が良いかもしれない。一時間で1000字程度の文章を書く基礎体力のない人は対策ナシでは厳しいだろう。
教育部の試験はいまいち合格基準が分からないことで悪名高いが、私としてはテーマに対する受験生の熱量と知識量がポイントなんじゃないかと思っている。というか、あの試験では他に測れるものがない。基礎学力が身についているなら後はやる気と根気の問題である。もっと熱くなれよ!
以下、私が実際に行った試験対策をつらつら書き連ねていく。
本を読む
自治会のパンフレットには「筆記試験対策として読んだ本」として以下の四冊が挙げられていた。全部読んだ。
メディア文化論 --メディアを学ぶ人のための15話 改訂版 (有斐閣アルマ)
- 作者: 吉見俊哉
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2012/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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結論から言うと、これらは別に読まなくてもよい。どれも面白い本なので読んでも損はないが、これらの本に書かれている内容が直接問われることはない。
誤解して欲しくないのだが、自治会のパンフレットが出鱈目を言っているわけではない。問題傾向が変わっただけである。詳しくはこの記事の一番下に書いたが、要するに今年の問題はある特定の分野に関する基礎知識をほとんど必要としないものだったのだ。その意味で、これらの本を読まなければ受からないということはない。
手前味噌だが、下二つの本には私の毒にも薬にもならない書評があるのでそちらも少しだけ参考に。
小論文を解く練習をする
「教育部の一次試験の問題って小論文みたいな感じですか?」と訊かれると返答に窮する。記述の量から言えば間違いなく小論文に近いのだが、設問のタイプから言えば「一問あたりの記述量が多い現代文の試験」に近い。
というのも、設問の中で解答の構成の仕方まで指定されているから、小論文特有の方法論を勉強しておく必要がないのだ。普通、小論文の問題としては、例えば
- ○○について、あなたの意見を論じよ。
とか、
- ○○に関して、具体的な例を挙げつつ考察せよ。
とかいった、「解答の構成はキミにお任せだよ」パターンが多く、かといって本当に自由気ままに書くとただの随筆になるので「小論文の書き方」なるものを習得せねばならないのだが、例えば今年の問3の設問は
あなたが情報学環教育部で学びたいテーマと消費的生産者はどのように関わってくるかについて、1)テーマの説明、2)それに関係する消費的生産者の事例、3)それに関わる理論的考察という順序で述べなさい。
と、もう涙が出てくるほどの親切設計だ。1~3の要求に従って文章を書いて、それを繋げるだけ。小論文未経験者大歓迎のスタンスが見て取れる。
小論文の練習として私は
大学院・大学編入学 社会人入試の小論文 改訂版 思考のメソッドとまとめ方
- 作者: 吉岡友治
- 出版社/メーカー: 実務教育出版
- 発売日: 2013/11/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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を使用し、この本もまたすばらしく出来の良い本なのだが、例によってこの本を読む必要はない。教育部の筆記試験は小論文ではないからだ。もっとも、普段から文章を書くことを行っておらず不安のある人はこの限りでない。ただ、そのような人は
の使用を検討してもいいかもしれない。小論文を書く以前の「文章を正しく読み、その読みを正しくアウトプットする方法」を教えてくれるのがこの本であり、きちんとこなせば教育部の記述問題に打ち克つレベルまでは容易に到達できる。
『現代用語の基礎知識 2015年版』を読む
これはもう完全に蛇足。全く読む必要はない。私も「読む」といっても各項目の扉の文章を読んだ以外はほとんど読んでいないが。
補足しておくと、以前は筆記で「○○(何かしらのバズワード)について説明せよ」という問題が出ていた時期があり、その対策のために読んでおいたのだが、やはり出なかったし、出たとしても私がしたような斜め読みではどうせ太刀打ちできない。
まとめ
要するに、自分のやりたい事が明確にあり、学びに貪欲であるような方は何もしなくても普段通りの生活をしていれば受かる。あなたが教育部に合格し私のよき後輩となることを願う。
おまけ:筆記試験の問題傾向について
筆記試験の過去問については「情報学環 教育部 過去問」とかでググればぼちぼち見つかるし、自治会のパンフレットをもらう時に昨年度の過去問もゲットできる。ここでは、私がネットと実際に貰った過去問を元に筆記試験の傾向をちょっと整理。私が観測した限りでは過去に2回問題傾向が変わっているので、勝手に第一期~第三期と名付けた。
第一期(?~2013前後)
試験時間は恐らく二時間。大問が二問あり、問一は六個あるキーワード*2から四個選び説明する問題。一つのキーワードにつき300字程度か?問二は今も出されているような文章題。
キーワード問題のせいで試験対策に『現代用語の基礎知識』などを読まされた受験生も多いようで、知識だけは多いが主体性のない学生が入ってくるようになったために問題の傾向を変えた(と勝手に推測している)。
第二期(2013前後~2014)
大問は一問。試験時間はたぶん一時間。この時期の特色は最後の小問で「○○についてあなたの知っている具体的なテキストを挙げつつ論じよ」のような条件を指定してくること。テキストは書籍に限られている場合もあれば映画・新聞記事などもOKといった場合もある。特に2014年度には「東日本大震災について独特の観点から論じたテキストを挙げる」という縛りがついており、震災を毛ほども気にせず暮らしてきた学生は設問を見た瞬間に不合格を確信したことだろう。
以前のような知識偏重の部分はなくなったものの、「普段から何かしらのテキストを濫読していること」という事実上の制限を課してしまう問題のあり方に疑問を抱いた問題作成者は、もう一度問題の傾向を変えた(と勝手に妄想している)。
第三期(2015~)
ここに来てついに、情報学環教育部の筆記試験をパスするためには『現代用語の基礎知識』も「ある特定の文化に関する深い素養」も必要なくなった。教育部の民主化である!
というのは半分冗談で、今や知識が全く必要とされなくなったなんてことはもちろんない。今年の問題も問一で「具体例をあげつつ」という条件が課されており、普段から好奇心旺盛で学びに貪欲であることは重要である。というか、むしろ今までの試験よりもいっそう貪欲さが求められるようになったのかもしれない。どういう領域に対するどんな問題が出されるか、全く分からなくなったのだから。